マンションの登記事項証明書を取得すると、「敷地権」という言葉が表記されています。
今回はこの敷地権について解説したいと思います。
と、解説の前に敷地権がどのように表記されているか、登記事項証明書の表記例を載せましたので確認ください。
<登記事項証明書 表記例>
表 題 部 (敷地権の目的である土地の表示) | |||||||||||||
① 土地の符号 | ② 所在及び地番 | ③ 地目 | ④ 地積 ㎡ | 登記の日付 | |||||||||
1 | 〇〇市×町一丁目1番1 | 宅地 | 1000 | 00 | 平成25年2月20日 | ||||||||
表 題 部 (専有部分の建物の表示) | 不動産番号 | 1234567890 | |||||||||||
家屋番号 | ××町一丁目 1番1の303 | 余白 | |||||||||||
① 種類 | ② 構造 | ③ 床面積 ㎡ | 原因及びその日付[登記の日付] | ||||||||||
居宅 | 鉄筋コンクリート造1階建 | 3階部分 100. | 12 | 平成26年2月3日新築[平成26年3月3日] | |||||||||
表 題 部 (敷地権の表示) | |||||||||||||
① 土地の符号 | ② 敷地権の種類 | ③ 敷地権の割合 | 原因及びその日付[登記の日付] | ||||||||||
1 | 所有権 | 100分の1 | 平成26年2月3日新築[平成26年3月3日] | ||||||||||
所 有 者 | △△市□町1丁目1番1号 株式会社●●建設 |
表 題 部 (敷地権の目的である土地の表示) | |||||||||||||
① 土地の符号 | ② 所在及び地番 | ③ 地目 | ④ 地積 ㎡ | 登記の日付 | |||||||||
1 | 〇〇市×町一丁目1番1 | 宅地 | 1000 | 00 | 平成25年2月20日 | ||||||||
表 題 部 (専有部分の建物の表示) | 不動産番号 | 1234567890 | |||||||||||
家屋番号 | ××町一丁目 1番1の303 | 余白 | |||||||||||
① 種類 | ② 構造 | ③ 床面積 ㎡ | 原因及びその日付[登記の日付] | ||||||||||
居宅 | 鉄筋コンクリート造1階建 | 3階部分 100. | 12 | 平成26年2月3日新築[平成26年3月3日] | |||||||||
表 題 部 (敷地権の表示) | |||||||||||||
① 土地の符号 | ② 敷地権の種類 | ③ 敷地権の割合 | 原因及びその日付[登記の日付] | ||||||||||
1 | 所有権 | 100分の1 | 平成26年2月3日新築[平成26年3月3日] | ||||||||||
所 有 者 | △△市□町1丁目1番1号 株式会社●●建設 | ||||||||||||
ざっと、こんな感じになります。
それでは記載例を踏まえた上で、ここからが解説です。
まず、敷地権を知るために、マンション等の区分建物には2種類の権利があることを知ってください。
以上、2つの権利です。
イメージとしては以下のような感じになります。
この2つの権利は区分所有法により原則として分離処分が禁止されています。
わかりやすく言うと、「専有部分を売るのであれば、敷地利用権もセットにして売れ」ということです。そして、このように建物と一体化した土地に対する権利のことを「敷地権」といいます。そのため、敷地権の登記がされると、区分所有権が移転した場合、敷地権も同様に移転することになるのです。
では、どうして敷地権が必要なのでしょうか。
敷地権が現在のようになったのは昭和58年からです。それ以前は「区分所有権」と「敷地利用権」は別々に登記されており、このことが登記の混乱を引き起こしました。
一般的に、区分所有権は所有者の数だけ登記簿が用意されます。つまり、50世帯が入居しているマンションだと登記簿の数も50冊となるのです。しかし、土地の登記簿は違いました。建物が建っている土地は一つなので「敷地利用権」の登記簿は1冊だけしか用意されなかったのです。
登記簿の記載の変更には、所有者の変更、抵当権の設定・抹消・借換えなど色々なものがあります。そして変更が発生した際には、その都度「区分所有権の登記簿」と「敷地利用権の登記簿」を変更していくのです。
その結果、どちらか一方を変更したのにもう一方は変更されていない、などというようなことが発生するようになりました。そこで敷地権が発明され、「区分所有権」と「敷地利用権」の登記をまとめることにより、マンション等登記簿の管理が格段にしやすくなったのです。
ところで、敷地権がないマンションは存在しないのかといいますとそんなことはありません。
前述したとおり、敷地権が現在のように使われるようになったのは昭和58年以降です。ですから、それ以前に建てられたマンションでは敷地権が設定されていないマンションが存在します。
もしそんなマンションの登記簿を確認することになった場合、膨大な登記記録を調査することになるかもしれません。調査には、それなりの時間と覚悟が必要になりますね。
最後にもう一つ、敷地権の例外について。
敷地権の登記がされた後において、建物のみ、土地のみの登記がされることがあります。
例えば、分譲マンションの所有者が転勤になり、留守の期間を賃貸に出すケースです。
この場合、賃貸借の対象は建物だけとなり、賃貸者契約の入居者は建物のみに賃貸借の登記をすることができます。そして、区分所有権と敷地利用権は依然として所有者のままということになります。
昭和58年に現在のシステムになった敷地権。当時はまだタワーマンションなどがなかった時代です。
そんな時代でも登記簿が大変なことになっていたのですから、タワーマンションがある現代で敷地権がなかったら、登記簿はさらにとんでもない事態になっていたことでしょう。
まさに、敷地権は現在の登記事情を救ってくれたと言っても過言ではないかもしれません。
Copyright 2009 Room Style All rights reserved.