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2015年10月18日

一時使用建物賃貸借契約とは

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一時使用建物賃貸借とは?

お部屋を借りる際に「普通賃貸借契約」や「定期建物賃貸借契約」を結ぶのが一般的ですが、近年、海外へご転勤されるオーナー様向けに「一時使用賃貸借契約」というものが少なくありません。

いったいどのような契約なのでしょうか。

一時使用建物賃貸借契約とはどういうものか

 

一時使用賃貸借契約とは、その名の通り、一時使用目的で締結された賃貸借契約の事です。
たとえば、オーナーさんが国内や海外へ転勤期間中だけ収益を得るために賃貸に出す目的などに利用される契約方法です。

一時使用賃貸借契約は、借地借家法の規定が適用がなく、民法の規定が適用されることになります。

すなわち、賃借人にとっての生活の基盤を保護するための借地借家法の適用がないため、借地借家法による強行規定の適用を受けることもほとんどございません。

賃借人にとっては法律的な保護が少なく、不合理に見えますが、賃借人の自宅の建替えなど、一時使用の賃貸借で目的を果たすことができ、オーナーさんにとっては契約期間終了後に建物が確実に返還されるため安心して建物を貸すことができます。

単身の方がお部屋探しをする際は、滅多にお目にかかることがございませんが、ファミリー向けのお部屋に近年多く存在します。

解約予告はどうなるの

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賃貸借の期間を定めなかった場合、当事者はいつでも解約の申入れをすることが可能(民法第617条)となります。賃貸人に正当事由は必要ありません。参考 民法第617条(期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ)

実際の現場での一般的に結ばれる契約としては、最低限の期間を定めることがほとんどです。定期借家契約とは異なり、オーナーさんが2年間の転勤理由であれば「2年以降帰任まで」というように募集をすることがございます。

定期借家契約の場合、オーナーさんからの解約は「1年~半年前(借地借家法第28条)」に予告が必要になります。万が一、1年から半年の予告を忘れて、正当事由があったとしても、契約は終了しません。参考 借地借家法第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)

しかし、一時使用賃貸借契約書には、2年以降のオーナーさんからの解約予告は3か月前となることが多く、その解約には「正当事由(借地借家法第28条の適用」)が必要なく、3か月前に告知があった時から、賃借人は3か月間住むことができます。

また、更新がなく、万が一オーナーさんの都合により転勤が延びて、3年、4年と帰任せず、解約の告知がない場合は、そのまま住むことも可能です。

賃借人からの解約予告は特約などで一般的な1か月~3か月前となることがほとんどとなります。

 

 

賃借人のメリット・デメリット

 

~メリット~

・定期借家の物件同様、家賃が相場に比べ安い

・建替えなど短期の契約も可能

・2年毎の更新料が無い

・運が良ければ、安い賃料で長く住める

~デメリット~

・オーナーからの解約通知があった際、次に引っ越すまでの期間が短い可能性がある

・借地借家法の規定がないため、オーナーからの解約を拒めない

 

オーナーさんのメリット・デメリット

~メリット~

・正当事由無しにいつでも解約の申し入れをできる

・契約期間を自由に決めることができる

~デメリット~

・借主からの途中解約で、転勤期間中だけの収益が見込めない可能性がある

 

双方のデメリット

・「居住用」物件でのトラブル事例判例が少ない

 

参考事例 引用:公益社団法人不動産流通推進センター

「事実関係」
媒介業者であるが、このたびある建物を選挙事務所用に一時賃貸借する。しかし、このような建物の一時賃貸借については、民法にも借地借家法にも明確な規定がないので、どのような法律が適用されるのかがよくわからない。

「質問」
今回の賃貸借は期間が6か月であるが、この場合の建物賃貸借は、借地借家法第29条の規定により、「期間の定めがない賃貸借」とみなされるのか。
もし「期間の定めがない賃貸借」とみなされる場合、貸主から賃貸借を終了させるには、借地借家法の規定によれば、解約の申入れをしてから6か月後ということになり(同法第27条第1項)、民法の規定によれば、解約の申入れをしてから3か月後ということになるので(同法第617条第1項)、果して契約期間の満了時に賃貸借を終了させることができるのかがよくわからない。
そもそも、建物賃貸借における一時賃貸借というのは、法制度的にあるのか。その場合に適用される法律は、借地借家法になるのか、それとも民法なのか。

 

↑このように不動産会社でも一時使用賃貸借の定義をあまりよく理解せず契約をしている場合もあり、事例も「事業用」の物件に関するものばかりです。

 

まとめ

賃借人、オーナーさんともにメリット、デメリットはあるものの、お互い契約期間をしっかり守れば、両者メリットの方が多く、比較的オーナーさんにとって借地借家法に縛られるずに契約を締結できるため、転勤などで一時的に使用する場合の収益を得るためであれば、定期借家契約よりも条件が緩和されメリットが多く残る契約となります。

転勤が決まって賃貸に出そうか迷っている方は是非ご相談くださいませ。

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