最近はペットも多様化していて、以前では考えられないような動物がペットとして飼われています。
では、陸上で最大級の哺乳類、ゾウをペットとして飼うことはできるのでしょうか。
ペットを飼う際に関わってくる法律は、『動物の愛護及び管理に関する法律』いわゆる『動物愛護管理法』という法律です。
動物愛護管理法によると、人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがある動物として政令で定める動物を「特定動物」として定めています。そしてゾウもこの特定動物に含まれています。
さらに環境省のホームページより動物愛護管理法を調べてみると
「人に危害を加える恐れのある危険な動物(特定動物)を飼う場合には、動物種・飼養施設ごとに都道府県知事又は政令市の長の許可が必要です。また、飼養施設の構造や保管方法についての基準を守らなくてはなりません。手続等については、管轄の都道府県又は政令市の動物愛護管理行政担当部局にお問い合わせください。」
とあるのです。(参考:http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/danger.html)
つまり、都道府県知事等の許可をもらえれば、特定動物を飼育することが可能というわけです。
以上のことから、キチンとした手続きをふめば法的にゾウは飼育できそうです。
(参考 東京都の場合:http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/douso/shiyou.html)
ちなみに、どんな動物が特定動物かというと、以下の表のような感じです。
哺乳綱 | 霊長目 | ホエザル・マンドリル・ゴリラ・チンパンジーなど |
食肉目 | コヨーテ・クマ・チーター・ユキヒョウなど | |
長鼻目 | ゾウ科全種 | |
奇蹄目 | サイ科全種 | |
偶蹄目 | カバ科全種・キリン・バイソンなど | |
鳥綱 | だちょう目 | ヒクイドリ科全種 |
たか目 | コンドル・イヌワシ・オオワシなど | |
爬虫綱 | かめ目 | カミツキガメ科全種(特定外来生物であるカミツキガメを除く。) |
とかげ目 | ドクトカゲ・コモドオオトカゲ・インドニシキヘビ・コブラなど | |
わに目 | アリゲーター科全種・クロコダイル科全種など |
(詳細は:http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/sp-list.html)
法的の段階はクリアし、実際にゾウを入手しようとした場合、そもそもゾウっていくらするの?
諸説ありますが、大体3,000万円くらいするそうです。
この金額には飛行機での輸送費用も含まれているらしいです。参考までに、ゾウの体重は3~5t前後。この重さの動物を移動するとなると、それなり費用がかかるということです。
そして、飼育施設(ゾウ舎)もそれなりのものを必要とします。
特定動物を飼育する際の守るべき基準に「飼養施設の構造や規模に関する事項」という項目があります。その項目には、「一定の基準を満たしたおり型施設で飼育保管すること」、「逸走を防止できる構造及び強度を確保すること」とあります。
つまり、ゾウを飼育するとなると、かなり強固な飼育施設(ゾウ舎)を準備する必要があるということです。
あくまで参考ですが、動物園がゾウ舎を建設する際に算出した金額が20億円。維持費に2,000万円かかるそうです。
この金額には屋内施設(2,000㎡)、屋外施設(3,000㎡)の費用が含まれています。ちなみにこの動物園、初めは4頭から飼育をしていくことのことです。
では、1頭だとどれくらいの金額がかかるか、正直不明です。
ただし上記金額からして、たとえ1頭分のゾウ舎を建設してもらうとしても、少なくとも数千万円の費用は必要だと考えられます。もちろん、ゾウ舎は近隣とのトラブルを避けるため、、騒音や臭いについてもキチンと対策を講じる必要があります。
そしてゾウ舎を建設するための土地も必要になってきます。もし都内でゾウの飼育を検討しているのであれば、それこそゾウ舎の建設費用より土地代がかかるかもしれません。
しかし、かかる費用はそれだけではありません。ランニングコストも膨大です。
食費が月40~50万円。そして水を毎日100リットルくらい飲むそうです。
ここまでみてくると、ゾウを飼育するとなるとかなりの出費を覚悟する必要がありそうですね。
法的にも金銭的にもクリアしたとしましょう。そしてゾウ舎も用意しました。
これで準備万端、いよいよゾウを庭で飼えそうです。
しかし!!ここに来て決して超えられない壁が存在しました。
そう、かの有名な「ワシントン条約」です。
この条約によって、アフリカゾウ・アジアゾウともに学術目的(動物園・大学などでの展示・研究・繁殖など)以外での取引が禁止されているのです。
つまり、個人でゾウを購入することはできないのです。
(参考:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/wasntn.html)
ゾウ舎まで建てて、結局ゾウを飼うことができない。このような悲劇に遭わないようにするため、海外から動物を輸入して飼う際は、まずワシントン条約を先に確認しましょう。そのほうが余計な出費をしなくてよさそうです。
キチンと法的な手続きをして許可もらい、キチンと設備を整えれば、庭でゾウをペットとして飼う準備はできます。でも、ワシントン条約上、ゾウを買うことはできません。
つまり、庭でゾウは飼うことはできません。
ここからは余談です。
同じような大型動物でもキリンは飼えるみたいです。
ちなみにお値段は純血種で1,000~1,400万円、雑種だと300~500万円くらいだそうです。
ペットしてキチンと飼育できる覚悟があり、金銭的にも余裕のある方、ぜひご検討してみてはいかがでしょうか。
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