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2023年9月29日

空き家問題について

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空き家の問題をご存知でしょうか。

最近ではテレビ等で取り上げられる機会が増えてきたように思います。

 

今回は、この「空き家の問題」について、すでにご存知の方、これから不動産運用を始めようという方にも、分かりやすくご説明させていただきたいと思います。

第1章 空き家とは

そもそも空き家とはどのようなことをいうのでしょうか。

「空家等対策の推進に関する特別措置法」によると、

・第2条第1項

この法律において「空家等」とは、建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)をいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。」

・第2条第2項

この法律において「特定空家等」とは、そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。

と、定義されております。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=426AC1000000127_20230614_505AC0000000050

 

※人の出入りの有無や、水道·電気·ガスの使用状況、建物の管理状態などを総合的に判断する材料としています。

 

 

第2章 空き家の占める割合は

空き家の占める割合は年々増している状況です。

総務省の平成30年住宅・土地統計調査によると、空き家率は13.6%と過去最悪になってしまっています。(2023年の10月に最新の調査が行われる予定です)

https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2018/pdf/kihon_gaiyou.pdf

 

内訳としては、賃貸用住宅が432万7千戸、売却用住宅が29万3千戸、別荘など二次的住宅が38万1千戸、その他住宅(転勤や入院等の理由で長期不在や建替えの為壊す予定、それら以外)が348万7千戸です。

昭和38年から常に増加し続けている空き家の数は、このままペースで増え続けると、2033年には3件に1件が空き家となってしまう計算が立つとも言われております。

 

 

第3章 なぜ空き家は増えるのか

では、なぜ空き家は増えてしまうのでしょうか。

考えられる理由は、いくつかあります。

理由①

家を所有していた人が家を離れるため。

家を所有していた高齢者が老人ホームなどに入居する、自分の子供や親族の家へ引っ越すことにより、高齢者がもともと持っていた家が空き家となります。

さらに、団塊の世代がこれから高齢者となっていくため、このような事例が増えていき、それに伴って空き家も増えていくと予想されます。

 

理由②

遺族がそのまま放置してしまうため。

上記の続きとも言えますが、所有者(主に高齢者)が亡くなった場合は、家が相続対象になることがほとんどです。

相続した家族・親族が、何もせずにそのまま放置してしまうのです。

その放置理由としては、

・その家が遠方にある。

・故人や幼少期の思い出·思い入れがあり、手を加える事に抵抗がある。

以上のようなことが挙げられます。

 

理由③

費用の問題。

空き家は以前の耐震基準で建てられていることも多く、そのままでは住むことが難しい状態であったりします。

現在の耐震基準を満たすようにリノベーションをしようとすると、かなりの費用が発生することも覚悟しなければなりません。

その結果、家を直せない。そして、その状態では当然貸す事はできない、買い手も付き辛いと悪循環に陥ってしまうのです。

 

※都心での空き家は権利者が不明。又は複雑(相続で揉める)になり、手が付けられなくなる事も。

 

第4章 戸建だけではありません

空き家と聞くと戸建てのイメージが先行するかもしれません。

しかし、現在はマンションをはじめとした集合住宅においても、空き家問題が増えてきているのです。

この場合、耐震基準もさる事ながら、賃貸の需要が減り入居者が減る事で管理費が集まらず、修繕にお金が回せず、建物全体の管理状態が悪くなる。その結果、建物の魅力がさらに無くなることで、入居希望者がいなくなるという負のスパイラルが発生します。

 

第5章 空き家として放っておくと大変

空き家は、その建物だけでなく周辺地域へも悪影響を与えます。

・草木が伸びっ放しになり景観が悪化する。

・不衛生な状態が続き悪臭や害虫の発生。

・老朽化により家屋の倒壊。

などという問題もあります。

また、火事や自然災害により起きた被害で、第3者への被害が出た場合、

多額の賠償金が発生してしまいます。

このような問題に対して、

「空家等対策の推進に関する特別措置法」によると、

第14条第1項

市町村長は、特定空家等の所有者等に対し、当該特定空家等に関し、除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置(そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態にない特定空家等については、建築物の除却を除く。次項において同じ。)をとるよう助言又は指導をすることができる。

とあります。

つまり、市町村長は家の持ち主に対して必要な措置を取るように助言や指導ができるのです。

そして、第14条第2項では、家の所有者に上記1項の助言や指導を実行してもらえない場合には、「勧告」できるとなっています。

さらに、第14条第3項では2項の勧告を実行してもらえない場合には「命ずる」ことができるとなっています。

 

更に悪質ですと、

第16条第1項

第14条第3項の規定による市町村長の命令に違反した者は、50万円以下の過料に処する。

とあります。つまり悪質と判断された場合、50万円以下の過料の可能性がある訳です。

 

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=426AC1000000127_20230614_505AC0000000050

 

また、空き家は不法侵入や不法占拠などの犯罪リスクが高くなるとも言われています。

そして、空き家内部での犯罪や放火のリスクも高くなるため、周辺の治安にも影響します。

 

第6章 まとめ

いかがでしたでしょうか。

空き家を放っておいても、いいことがないことをご理解いただけたでしょうか。

空き家問題には相続の問題も関わってきます。そのため、あまり話題にしたくないことになるかもしれません。

しかし、自分達の問題としてではなく、子供や孫の問題にもなってくることも考え、話し合ってみることも大切なのかもしれません。

 

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