新型コロナの影響で、リモートワークの推進や出張・転勤の中止、大学のリモート授業への意向等、大きく変化してしまった賃貸市場。単身向け・ファミリータイプ等でも需要の影響が異なり、各不動産会社やオーナー様それぞれが所有物件の相対的な見直しを余儀なくされ、対応に右往左往するというケースが多く発生しております。
今回は直近1~2年の間で起きた、賃貸住宅の影響をピックアップしてご説明したいと思います。
上記にもあげた通り、リモートワークやリモート授業開始の影響で、賃貸中のお部屋の解約や、単身用間取りのニーズには大きく影響を与えたのでしょうか。
まずは総務省の『住民基本台帳人口移動報告』をもとに首都圏での人流について調べてみました。
(出典:総務省統計局 e-Stat政府統計の総合窓口 住民基本台帳人口移動報告より)
埼玉県や神奈川県の転入率、転出率は全国平均と比べてもさほど変動がないものの、東京都に関してのみ、特に転出率はプラスとなっております。単身者用に限ったデータではありませんが、明らかに東京都から都外への転出だけが多く全国トップとなってしまいました。
大学生や社会人になり、「地方から都市部へ」という概念が大きく覆され、リモートになるなら「実家に戻ろう」、もしくは「都心から離れて広い家に住替えよう」といった考えが働くのも無理はありません。
では、ファミリータイプの間取り需要はどうなのでしょうか。
結論として、影響が少ないという言い方が正しいかは不明ですが、大きな変化は無し。といった印象です。
現在2LDKにお住まいのご家族が「リモート用のお部屋が1部屋欲しい」等の理由から少し広めのお部屋に住替えるというお引越しが目立ちます。1LDKにお住まいのご夫婦は2LDK、2LDKにお住まいの方は3LDKへ、というように、より広い間取りへ住替えをされるケースが目立ちます。
お子様がいらっしゃるご家庭では、通学先へのご理由から他県へ住替えられるご家庭が少ないのではないかという考察から東京都でも大きな影響は少なくございました。
それでは、賃貸家賃相場や条件面の設定はどう変化したのでしょうか。
日本賃貸住宅管理協会の市場データにおいて、協会会員(賃貸住宅管理会社)を対象に行ったアンケート調査の中で、興味深い結果が出ておりました。
(出典:日本賃貸住宅管理協会 市場データ(日管協短観)2020年度下半期データより)
全国的に「礼金無し」「フリーレント付き」など、初期費用を安価にしてお引越時の負担を減らした条件で募集を始める物件が30%以上増加傾向にあるようです。賃料相場は変動させずに、賃貸条件を緩和させるための措置のように見受けられます。
コロナ禍で不要不急の外出頻度が減少した結果、不動産業界も順応すべく変化が生まれました。
Zoomやその他ビデオツールを使ったオンライン内見が開始され、遠方の方のお引越しだけでなく外出を控える方でも抵抗なく実施されるようになりました。どうしても実際に現場を見る事に比べると、広さや空気感・雰囲気等がつかみづらく、成約に結び付きづらい懸念点もありますが、必要最低限の外出に済ませる上では非常に有効な手段となっております。また法整備の結果、賃貸契約の締結時にはIT重説が可能となり、対面でなくても契約業務が可能となりました。画面上に宅地建物取引士証を提示し、契約書類を読み合わせが出来る状況であれば、契約締結を実施しても良いことになっています。
ITツールが導入されてある程度の時間が経過しましたが、実際の活用状況はどうなのでしょうか。
アットホームでの調査では、以下のような結果となりました。
■自宅でスマートフォン等からオンラインで内見したい・・・約30%
■重要事項説明をオンラインで行いたい・・・約30%
(HP:at home『ニューノーマル時代の住まい探し調査』より抜粋)
一定数はオンラインを活用したお部屋探しを検討されているようですが、まだまだ現物対面でのお部屋探しをしたいというニーズが大半となっております。周辺にどんな施設があるかも含めて、総合的なお部屋探しをされる方が多いため、中々浸透しづらいのかもしれません。
新型コロナの世界的な流行により、不動産業界でも大きな打撃・影響を受けました。
ただその中でもお部屋探しされている方、お引越ししなければならない方もおりますので、ご入居者様へ新型コロナの影響がないように、不動産業界も変化せざるを得ない状況が続きました。あまりIT技術を取り入れてこなかった不動産業界もまだまだ変革途中で、満足に適応できない点も発生しますが、法改正とともにお部屋探しから鍵渡しまでの効率を上げ、現状での出来る範囲でお引越し検討者様がスムーズに新居へお住まい頂けるようなフォローを進めていきたいと思います。
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