「親から相続した建物が空家になっています。このまま放置するのももったいないので、外国人旅行者向けに短期の宿泊所として貸したいと思っていますが、何か問題があるのでしょうか」今回は、このような場合について先ず、気を付けておくべき点についてご説明いたします。
現在、訪日外国人の急増と主な観光地の宿泊施設が不足している現状から、民泊ビジネスが注目を浴びています。しかし、民泊は、宿泊料を受けて人を宿泊させる営業行為です。旅館業法では、「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」のことを「旅館業」としており、「宿泊」とは、「寝具を使用して各種施設を利用させること」をいうものとされています。
したがって、自己所有の家屋を民泊に供する行為は、現行法のもとでは、「旅館業」と位置付けられます。旅館業法は、「旅館業を経営しようとする者は、都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては市長又は区長)の許可を受けなければならない」と定めており(旅館業法3条1項)、この規定に違反して許可を得ることなく旅館業を経営した者は「6月以下の懲役又は3万円以下の罰金」に処されることになります。
したがって、現行法のもとでは、旅館業の許可を得ることなく民泊営業を行うと旅館業法違反とされ、刑事罰の対象とされることがあります。実際、裁判所の仮処分により民泊営業が差し止められる事態も生じています(大阪地裁平成28年6月27日決定)。大阪市内にある100戸を超える分譲マンションにおいて「専ら住居として利用する」との管理規約を有していたマンションで、特定2部屋に出入りする外国人が急増し、管理組合が、管理規約に反する使用であること、玄関がオートロックであるのに宿泊者が自由に出入りする等の安全上の問題や、宿泊者が廊下やエレベーターで大声を出して騒ぐ等の事実を挙げ、区分所有者全体の利益に反すると主張し、裁判所より、民泊行為の差し止めを認める仮処分決定が発令されました。
区分所有法第6条1項は「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない。」と定めています。
すなわち民泊は、
上記を意味します。
このため、民泊という営業形態による宿泊の提供に関する法律として新たに「住宅宿泊事業法」が検討されたところです。この法律では、民泊を「家主不在型」と「家主居住型(ホームステイ)」の2つに分けていますが、年間提供日数が一定の要件を満たす場合には、許可制ではなく届出制となり、民泊特区以外の地域でも合法的に民泊営業が可能となります。
このように、民泊営業は気を付けておくべき点がありますので、安易に始めることはおススメできません!共同マンションは特に気を付けて始めることが必要です。
ご参考下さい♪
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