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2017年7月18日

民法改正が賃貸不動産管理に及ぼす影響③

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平成27年(2015年)3月、第189回国会において民法の一部を改正する法律案が提出され、現在、特別委員会において、継続審議となっています。いまだ法案成立にまでは至っていませんが、契約に関する条文が大幅に変更になることは、間違いないとみられています。賃貸不動産に関しても民法の理解が不可欠です。本コラムでは改正の経緯とこれからのスケジュールを紹介するとともに、改正の概要をご案内いたします。

2 一部滅失による賃料減額

建物の一部が使用できなくなったときには賃料は当然に減額になることに注目

新民法では、賃借物の一部が滅失その他の事由により使用をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される、と定められます(新611条1項)。地震が起きて、建物が傾いて、建物の一部が使用できなくなったようなケースにおいては、減額請求をすることなく、当然に賃料が減額となります。

 

3 賃借人による修繕

賃貸人が修繕義務を果たさないときには、賃借人が自ら修繕できるという規定ができることに留意

新民法では、賃借物の修繕が必要である場合には、賃借人が賃借物の修繕をすることができるという定めが新設されます(新607条の2)。賃借人が自ら修繕することができるのは、①賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、または賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき、②急迫の事情があるときの2つです。雨漏りがしていて、修繕を賃貸人に申し入れたにもかかわらず、賃貸人が修繕をしない場合が①に、窓枠が壊れて雨風が吹き込むようになってしまった場合が②にあたります。

 

現行民法にも賃貸人が本来負担すべき必要費を賃借人が支出したときには、賃借人は、賃貸人に対し、必要費の償還請求をすることができるという定めがあり(現行608条1項)、この定めは賃貸人が修繕を行わない場合には、賃借人が自ら修繕を行うことができることを暗黙の前提としています。新たに新設される条文では、この暗黙の前提が明記されます。

 

賃借人による修繕の定めの明文化によって、賃借人が無断で建物に手を加えてしまうトラブルが生じる可能性もないとはいえません。しかし、賃借人が自ら修繕をなしうるケースは限定されているのであり、このことを踏まえて、トラブルに対応しなければなりません。

 

次回、民法改正が賃貸不動産管理に及ぼす影響④では原状回復や敷金、改正のまとめについてお話しいたします。

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