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2019年6月28日

非居住者(海外家主)の賃貸収入における源泉徴収税

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昨今、多くの企業がグローバル化により、海外赴任となる従業員の数が増加しているようです。

外務省の統計によると2018年末時点で、海外に滞在している日本人の数は139万370人となり1968年以降の最高数を更新、平成に入ってから増加を続けている状況です。

そのような時代背景の中、海外転勤や海外への居住などにより、国内の所有物件の貸し出しを検討されている方が増えてきています。

物件オーナーが一時的な海外転勤などで、期間中所有物件を賃貸に出したい方へ向けた税金に関する注意事項として、『非居住者の2割源泉』や『納税管理人の選出』など、国内居住オーナーの賃貸とは異なるポイントが出てきます。

今回の記事では、ご所有物件のお貸し出しを検討されており海外転勤等される方にご注意いただきたい「非居住者の2割源泉」について紹介していこうと思います。

海外源泉の納税義務が発生する条件

まず、日本の所得税法では納税義務者を
・居住者
・非居住者
・内国法人
・外国法人
の4つのグループに分類しています。今回はその中から個人に該当する「居住者」と「非居住者」を取り上げます。

居住者とは
国内に「住所」を有し、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人

非居住者とは
国内に「住所」を有さず、現在まで引き続いて1年以上日本国内に「居所」がない個人

※「住所」とは、「各人の生活の本拠」をいい、国内に「生活の本拠」があるかどうかは客観的事実によって判断することになっています。また「居所」とは、「その人の生活の本拠という程度には至らないが、その人が現実に居住している場所」とされています。
(国税庁HP引用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2012.htm

上記のような2種類に分類されます。

したがって、海外に1年以上赴任する方は税法上「非居住者」という扱いとなります。日本国内に住所を有していない非居住者の場合でも、日本国内での収入がある場合は当然にその収入に対しての納税義務が発生するので、確定申告を行い税金を納める必要があります。

少し脱線しますが、補足として投資用に日本の物件を購入した海外法人・海外投資家も該当します。

近年日本の経済成長が続いた結果、日本の不動産の価値も高くなり、海外投資家からの注目も集まっておりました。海外投資家で日本に対する投資実績がある割合は、なんと75%超えという高水準。注目の高さがうかがえます。

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国土交通省<平成30年度海外投資家アンケート調査より>抜粋

借主側の条件、納税金額及び納税場所

借主の名義が個人名義ではなく、法人名義の場合、非居住者の申告漏れを防ぐために、借主が賃料支払いの際に源泉徴収相当額を税務署へ納付します。

賃料収入に対する源泉徴収税(所得税及び復興特別所得税)の税率は、賃料の20.42%相当額です。また納付方法は、指定の納付書により、所轄税務署または銀行や郵便局などの金融機関において納付する事ができます。

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上記の流れから、毎月のオーナー様へ送金される金額は賃料から20.42%を差し引かれた約8割相当となります。

しかし実際に収める所得税と比べ、20.42%の源泉徴収が多くなるため、確定申告の際に還付を受けることになります。また、あくまで借主が法人名義の場合になる為、借主が個人名義であれば上記の源泉徴収税は発生しません。先に税金を納め還付を受けるか、確定申告の際に税金を納めるかの違いとなり、実際に納税する金額に差はないので、流れが違うとだけ覚えておいていただければ大丈夫です。

借主が法人の場合、借主法人が税務署に賃料等の2割を納める形となりますが、オーナー様からしたら本当に払ってくれているのか心配になることがあると思います。そのような場合には、法人から支払調書を貰うことで確認することが出来ます。
支払調書

 

源泉徴収の免除又は軽減を受けることができるケース

日本国内の非居住者が、国内に恒久的施設(建物)を所有し事業を行っている場合には、一定の要件を満たせば、税務署に申請することで税務署長から源泉徴収の免除証明書をもらうことが出来ます。

恒久的施設の範囲は以下のように定められています。

  1. ① 非居住者等の国内にある事業の管理を行う場所、支店、事務所、工場、作業場若しくは鉱山その他の天然資源を採取する場所又はその他事業を行う一定の場所。
  2. ② 非居住者等の国内にある建設、据付けの工事又はこれらの指揮監督の役務の提供(以下「建設工事等」といいます。)で1年を超えて行う場所(1年を超えて行われる建設工事等を含みます。以下「長期建設工事現場等」といいます。)。
    なお、長期建設工事現場等の期間要件について、その期間を1年以内にすることを主たる目的として契約を分割して締結した場合などは、それらを合計した期間(重複する期間を除きます。)が1年を超えるかどうかで判定します。
  3. ③ 非居住者等が国内に置く代理人等で、その事業に関し、反復して契約を締結する権限を有し、又は契約締結のために反復して主要な役割を果たす者等の一定の者(以下「契約締結代理人等」といいます。)。
    非居住者等の代理人等が、その事業に係る業務を、非居住者等に対し独立して行い、かつ、通常の方法により行う場合には、契約締結代理人等に含まれません。ただし、その代理人等が、専ら又は主として一又は二以上の自己と特殊の関係にある者に代わって行動する場合は、この限りではありません。

(国税庁HP引用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2883.htm

 

証明書を借主に提出することにより、証明書が有効である間は支払いを受ける国内源泉所得について、源泉徴収の免除をすることが可能になります。

つまりは、一定の要件を満たし税務署から証明書をもらうことで、源泉徴収をしなくてもよくなるということです。一定の要件は以下となります。

① 開業等の届出書を提出していること。

② 納税地に現住しない非居住者については、納税管理人の届出をしていること。

③ その年の前年分の所得税に係る確定申告書を提出していること。

※納税管理人とは、オーナー様に代わり税務署からの通知を受け取ったり、確定申告書の提出や税金の納付などを行う人のこと。

具体的な手続き方法や必要書類は、以下URL(国税庁)をご確認下さい。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/annai/1648_26.htm

まとめ

海外オーナー様の場合は手続き等が増えてしまい、多少ややこしくなってしまいます。

余裕をもって手続きを行うことで、引越し作業しつつ税務署への手続き、貸し出しの手続きでバタバタという状況を回避できるかと思います。

免除や軽減なども受けることが出来るようなので、必要な手続きを税務署に相談すると尚ベターです!

この記事が少しでも参考になれば幸いです。

 

 

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