高級賃貸取引を知り尽くしたスタッフが書くブログです。

2019年6月5日

借地借家法②借家編

イラスト2
Pocket

借地借家法、今回は借家の場合についてです。
一軒家や、マンションの一室もここに該当します。

存続期間

契約期間は1年以上でなければなりません。
また最長の制限はありません。
1年未満の期間を定めた場合には、期間の定めがないものとみなされます。
期間の定めがない場合、解約の通知をしてから6ヶ月を経過した時点で借家契約は終了します。

更新

借主保護のため、更新拒絶の通知をしなければ、前契約と同じ条件で借家契約が更新されたものとみなされます。
契約が終了するわけではありません。
そして、その期間は定めがないものとされます。

また、更新拒絶の通知をしていても、借主が期間が満了しているのにもかかわらず居座った場合、貸主が何もしないと更新したとみなされてしまいます。
この場合では、貸主は、正当事由を添えて遅滞なく意義を述べることが必要です。
解約申し入れの方法、要件は以下のとおり。

期間の定めのある場合

❏貸主からの解約申し入れ

・期間満了の1年前〜6カ月前までの間に更新拒絶の通知をする
・正当事由が必要

❏借主からの解約申し入れ

・期間満了の1年前〜6カ月前までの間に更新拒絶の通知をする
・正当事由は不要

借主はそこに住んでいる以上、貸主にいきなり家を明け渡せと言われても困ってしまいます。
ですので、正当な理由がない限りは借主が住み続けられるように、借主を保護する内容になっています。

期間の定めのない場合

❏貸主からの解約申し入れ

・解約申し入れから6カ月を経過したときに契約は終了
・正当事由が必要

❏借主からの解約申し入れ

・解約申し入れから、3カ月を経過したときに契約は終了
・正当事由は不要

立ち退きを求められれば借主はお部屋探しや引越しなどいろいろな準備をしなくてはなりませんから、貸主からの場合6ヶ月という期間が設けられています。

また、貸主からの解約申し入れには正当事由が必要になりますが、借主が更新したくないということに対しては、貸主は家賃収入が途切れるだけですので、特別な理由は不要となります。

正当事由とは貸主がその建物を使用する必要があったり、老朽化などでの建て替え、賃貸借の経緯や、建物の利用状況などが該当します。

対抗力

貸主が代わったからといって借主がそこに住めなくなってしまっては酷なため、借主がその家に住んでいれば、新しい貸主に「ここに住んでいるから出て行かない」と対抗することができます。

造作買取請求権

造作買取請求権とは借主が貸主の承諾を得て、畳、建具などの造作をした場合に、賃貸借終了時にそれを時価で買い取ることを請求できるというものです。
これには貸主から買い受けた造作も含まれます。

借主が家を出ていくときに畳を持っていっても意味はありませんが、畳を置いていけば、その後貸主が使えて経済的という面から造作買取請求権が認められています。
ただし、貸主の同意で造作したものでも買い取らなくてもよいという特約もできます。

取壊し予定の建物の期限付借家

建物が老朽化していて取り壊すことになっているとか、法令や契約により一定の期間を経過した後に建物の取り壊しが決まっているなどの事情がある場合には、取り壊すまでという条件で貸すこともできます。

この場合には、書面にその旨を記載して契約を締結すれば、建物の取り壊し時期に賃貸借契約は終了します。

定期建物賃貸借

定期借家契約は更新がなく、契約満了により契約が終了します。

この契約期間に制限はなく、1年未満という短期での契約も可能です。
貸主、借主共に一定期間を貸す義務、借りる義務があるため、簡単に中途解約はできませんが、例外的に、床面積が200㎡以下の居住用建物で、転勤、 療養、親族の介護その他のやむを得ない事情がある場合は中途解約ができることになっています。

更新がないことは借主にとって不利益なので、公正証書などの書面によって契約する場合に限ります。
また、契約期間が1年以上のものは、契約満了の1年前~6カ月前の間に賃貸借終了の旨を借主に通知する義務があります。

まとめ

①基本契約期間は1年以上
②更新拒絶の通知をしなければ更新される
③更新拒絶は一定期間前に通知することが必要。また貸主からの解約には正当事由が心要。
④借主には造作買取請求権があるが、特約によりあらかじめ放棄することも可能
⑤取り壊し予定の建物は期限付き借家として契約が可能
⑥公正証書などの書面での契約に限り定期建物賃貸借が可能

今回は借家の場合についてでしたが、借地借家法は土地や建物の賃貸借契約における借主の保護を目的とした規定です。

家を貸す、借りる際にあると困らない知識ですので参考にしてみて下さい。

Pocket



▲このページのTOPに戻る

物件リクエスト登録

物件を貸したいオーナー様へ
サイトの使い方
企業情報 | スタッフ紹介 | 採用情報 | プライバシー | 高級賃貸.com スタッフブログ |