「田園住宅地域」という言葉は聞いた事ありますか。不動産従事者であれば、「用途地域」は聞き慣れているかもしれませんが「田園住宅地域」はいかがでしょう。
実に25年ぶりとなりますが、平成30年4月から新たに「田園住居地域」という用途地域が加わりました。今まで12種類だった用途地域が13種類になります。
用途地域とは、用途の混在を防ぐ事を目的とした、都市計画法の地域地区の一つです。
もし用途を守らず皆が勝手に建物を建てていくとどうなるでしょう…
静かに住みたい方のお家の隣に大規模な工場が建ったり、小学校の隣に歓楽街があったりと、住みにくそうな街になっていく感じがしませんか?
それらを防ぐ目的で制定されたルールです。
全部で13種類、大きくわけて、住居系、商業系、工業系に分かれます。
以下一覧
【住居系】
1.第一種低層住居専用地域
2.第ニ種低層住居専用地域
3.第一種中高層住居専用地域
4.第ニ種中高層住居専用地域
5.第一種住居地域
6.第ニ種住居地域
7.準住居地域
13.田園住居地域
【商業系】
8.商業地域
9.近隣商業地域
【工業系】
10.工業地域
11.工業専用地域
12.準工業地域
「田園住居地域は、農業の利便の増進を図りつつ、これと調和した低層住宅に係る良好な住居の環境を保護するために定められる地域である」。
以前お話した、生産緑地問題等視野に入れ、街や住居の都市生活基盤に農地が含まれるという考え方に立つ仕組みで、住居+農地を街づくりの構成要素として位置付けるという目的があります。
以下(都市計画法52条1項本文)抜粋
田園住居地域内における建築制限
現行法上は、市街化区域では、生産緑地を除き、宅地化を規制する定めはありません。これに対し、田園住居地域では、住居としての利用と農地としての利用の均衡を図ることを目的として、地域内の農地(耕作の目的に供される土地)について、土地の形質の変更、建築物の建築その他工作物の建設または土石その他の政令で定める物件の堆積を行おうとする者は、市町村長の許可を受けなければならないものとされます(都市計画法52条1項本文)。
①開発規制
A 地域内の農地について以下行おうとする者は、市長村長の許可が必要となります。
・土地の造成 ・建築物の建築 ・物件の堆積
B 駐車場・資材置き場のための造成や土石等の堆積も規制対象
C 市街地環境を大きく改変するおそれがある一定規模(政令で300㎡と規定)以上の開発等は、原則不許可
②建築規制
A 低層住居専用地域に建築可能なもの
・住宅、老人ホーム、診療所等
・日用品販売店舗、食堂・喫茶店、サービス業店舗等(150㎡以内)
B 農業用施設
・農業の利便増進に必要な店舗、飲食店等(500㎡以内)
農産物直売所、農家レストラン、自家販売用の加工所等
・農産物の生産、集荷、処理又は貯蔵に供するもの
・農産物の生産資材の貯蔵に供するもの(温室、集出荷施設)
③形態規制
低層住居専用地域と同様
容積率:50~200%、建ぺい率:30~60%、
高さ:10or12m、外壁後退:都市計画で指定された数値
※ 低層住居専用地域と同様の形態規制により、日影等の影響を受けず営農継続可能
今後、宅建業法上、宅建業者が説明すべき重要事項になりますので、建築等の規制、用途規制に関する規定(建築基準法48条8項)が加わる事を宅建業者は覚えておいた方が良いかと思われます。
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