前回からの続きです。
今回は賃貸ビジネスに影響を与える項目のうち、賃貸人の修繕義務・賃借人の修繕権限についてお話いたします。
第9条
第9条 甲は、乙が本物件を使用するために必要な修繕を行わなければならない。この場合の修繕に要する費用についてはおいて、乙の責めに帰すべき事由故意又は過失により必要となったものは乙が負担し、その他のもの修繕に要する費用は、乙甲が負担するものとするしなければならない。
現行
貸主に修繕義務があることになっていた。
改訂
借主に落度がある場合は、貸主に修繕義務がないことが明記。
3 乙は、本物件内に修繕を要する箇所を発見したときは、甲にその旨を通知し修繕の必要について協議するものとする。
4 前項の規定による通知が行われた場合において、修繕の必要が認められるにもかかわらず、甲が正当な理由なく修繕を実施しないときは、乙は自ら修繕を行うことができる。この場合の修繕に要する費用については、第1項に準ずるものとする。
35 乙は、甲の承諾を得ることなく、別表第4に掲げる修繕について、第1項に基づき甲に修繕を請求するほか、を自らの負担において行うことができる。乙が自ら修繕を行う場合においては、修繕に要する費用は乙が負担するものとし、甲への通知及び甲の承諾を要しない。
現行
原則として賃貸住宅の修繕を行うのは貸主。
改定
明文化⇒借主も一定の範囲で修繕を行うことができる。
ただし以下の状況の場合に限ります。
・ 借主が貸主に修繕が必要であることを通知済。
・貸主は修繕が必要なことを知ったにもかかわらず、相当期間を経過しても修繕をしない時。
・ 急迫の事情がある時。
「相当期間」は、修繕の緊急性や具体的内容によると考えられています。
上記は以前から判例などで認められていた行為であり、無過失の借主が負担した修繕費用は貸主に請求することができます。
ただ、今後民法に明文化されることで、借主が「勝手に」修繕をする等のトラブルが増えることが懸念されます。
修繕が本当に必要か、どの程度必要かといった認識が共有されず、借主が修繕しトラブルに発展するケースは考えられます。
トラブル回避の他にも、今後の賃貸借契約締結時の取決事項が重要になってくるかと思います。
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