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2018年3月16日

生産緑地法の2022年問題

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生産緑地法の2022年問題について

あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、「生産緑地法の2022年問題」をご存知でしょうか。都市圏における不動産動向、不動産投資において、2020年東京オリンピックに次いで、生産緑地法の2022年問題は、とても大きなポイントとなる事案と言われています。

 生産緑地法とは

そもそも生産緑地とは何かというと、「大都市圏に存在する市街化区域内の農地」の事です。

1974年当時、都市圏においては深刻な住宅不足が問題になっていました。

住宅問題解消の為、大都市圏の一部自治体では市街化区域内における農地の宅地化を促したく、農地の宅地並み課税を行いました。これにより多くの農地は宅地化されたのですが、同時に住環境の悪化問題を招く事となりました。

この問題を打開すべく公布されたのが生産緑地法です。

 

 「生産緑地法」

都市計画と農林漁業の調整を図りながら、良好な都市環境を形成する目的で制定された法律。

生産緑地地区に関する都市計画に関し必要な事項を定めている。昭和49年(1974)制定。

 

生産緑地法も定められ、落ち着いたかに見えたのですが、その後18年間も都市化の勢いは衰えず、益々発展し続け地価上昇。現行の生産緑地法ではバランスが保てず、1992年に生産緑地法の改正が行わました。

 

1992年 生産緑地法改正

改正により変わったのは、より明確化するという点です。

①農地として保全する土地「生産緑地」

②宅地に転用される農地

をより明確に分けるよう改正されました。

①の生産緑地地区に指定されると、所有者は建物を建てるなどの行為が制限され、農地としてしっかり管理することが義務付けられました。しかし、その代わりに固定資産税は農地並みに軽減され、相続税の納税猶予を受けることとなりました。

 

生産緑地に指定される主な内容は、

・面積が 500平米以上であること。

・農林漁業などの活動が営まれていること

・当該農地の所有者、共同名義人、関係権利者全員の同意があること。

・生産緑地としての告示日から30年が経過した場合は自治体に買取りの申し出ができる。

などなどです。

 

そして、ココがポイントですが、

生産緑地の告示日から30年経過した場合は、所有者は自治体に対して買取緑地の申出を行うことができる点です。

自治体は特別な事情がない限り、時価で買い取らなければならないと定めています。

 

しかし今の情勢、財務状況はどうでしょうか。一斉に買取り農地申出が行われた場合、各自治体は対応できるでしょうか。

各自治体が買い取らなかったり、生産緑地として他に買う者がいない場合には、当然この生産緑地指定が解除されます。

 

解除されると、今まで優遇されていた固定資産税などは宅地同然まで上がり、その負担に耐えれない所有者は手放さなくてはならない状況になります。

そういった所有者さんが大量に土地を売却すれば重要と供給のバランスは崩れ=地価下落に至る可能性が現実的にあります。

また、ある程度まとまった土地であれば、不動産業者が買い狙うのは当然の事。戸建建設の大手ハウスメーカー、大手のアパート建築経営会社、好立地だとマンションデベロッパーが狙う可能性は充分にあり得ます。

地価下落、供給過多による空き家問題の深刻化、確保されていた日照が遮られる既存マンション問題、と色んな問題が浮かび上がってきます。

国の対策もあるものの限定的にしか機能しないと聞いております。オリンピック、次いでこの問題を迎えるにあたり課題は山積みかと思います。

 

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